Ko-Ya-Shi

日常に潤いを与えるライフスタイルブログ

神出鬼没なアイツ(1)ーゴキブリとの遭遇

 楽しい食事会を終えて、心地よい良い気分で帰宅した。玄関の扉を開けて、靴を脱ごうとすると、黒く光る物体が視界に入り込んできた。

 

黒い物体は、触覚を左右に動かしている。よく観察してみると、黒光りした羽を体におさめ、6本の足を動かしている。やはり、アイツだ。自宅では見たことがないサイズの本格派が佇んでいる。羽越しに見える腹部の膨らみから、栄養をしっかりと蓄えていることがうかがえる。長い冬を乗り越えてきた生命力と貫禄に威圧されそうだ。

 

目の錯覚かと思い、やり過ごそうとすると、次の瞬間には俊敏な動きで壁際へと移動した。やはりヤツだ。こんな気分の良い日に何の予告もなく、黒い羽のアイツは現れた。冷や汗が背中を通り過ぎる。脳の中に冷房を直接吹きかけられたような妙な寒気がした。

 

 

私が住んでいる部屋は、マンションの一階にある。同じフロアにはマンション全体のゴミ集積所がある。私の部屋からは10メートルほどの距離にあり、ゴミを捨てるには便利だが、ヤツらに取っては格好のエサ場であるため時々、見かけることはある。とはいえ、自宅でヤツらに遭遇することはほぼ皆無だ。この家には現れないと思い込んでいたものの、ゴミ集積所から餌場から足を伸ばしてきた猛者が玄関の隙間を縫って侵入してきたようだ。

 

何か手を打たなければ、面倒なことになるような気がして、できるだけ早く対処することを覚悟した。玄関には靴が並べられていて、壁際には下駄箱へと入り込むことができる隙間もあって、わずかな判断の遅れでヤツは死角へと消える可能性がある。

 

かつて一人暮らしをしていた時、夜中に目が覚めて、電気を付けると、頭上の壁に長い触覚を揺らして、待ち構えていたことを、ふと思い出した。その時は、長時間に渡って格闘した末に、巨大な黒い生命体は死角へと消えて行き、朝まで眠れなかったことを思い出す。翌朝、部屋を閉め切って、駆除するためにバルサンを焚いたほどだ。

 

自室ではなく、玄関のため、その時ほど状況は悪くないが、生命力の強いヤツを逃すと後が怖い。是が非でも仕留めなければならないという思いに駆られた。