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日常に潤いを与えるライフスタイルブログ

音楽と共に生きる - Spencer Bernard & Lisa Kiethの今

前途有望なアーティストがまさにこれからという時期に業界から姿を消す。エンターテインメントの世界では珍しくない。

 

人生にとって必要なものは何か。世間的な華やかさはなくとも、つつましく、より人間らしい生き方を求めて、次のステップに進むことも一つの選択だ。

 

エンターテインメントの業界を離れても、その後の人生のほうが長く、アーティスト活動は人生の中のほんの1ページに過ぎない。

 

今回は、若くして音楽業界で羽ばたき、早くに業界を引退したある夫婦を紹介したい。

 

目次

Spencer & Lisa

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Spencer & Lisa

(source of photo: spencerandlisa.com)

spencerandlisa.com

 

 

二人の中年の男女が見つめ合い、ほほえんでいる。

写真からも強い信頼関係で結ばれた素敵な関係であることが伝わってくる。

 

二人の名前は、Spencer Bernard & Lisa Keith

 

この名前でピンとくる人は非常に少ないだろう。

もし知っているとすれば、30代後半以降でよほど思い入れがあるか、音楽好きだと思われる。

 

Lisa Keithはシンガー、夫であるSpencer Bernardは作曲家であるため、メディアへの露出はLisaのほうが多かったと思われる。夫婦で活動していたため、アコースティックのLiveだと二人で出演しているシーンが多かったようだ。

 

 Profile

 

彼らのプロフィールを振り返ってみたい。

 

Lisa Keith、Spencer Bernardは、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスの出身で、現在50代後半、還暦まであと少しという年齢だ。

 

二人は高校時代からカップルでありながら、音楽のパートナーとしても活動を開始し、その後も公私ともにパートナーとして活動していくことになる。

 

1981年にミネソタ州の音楽コンテストで優勝したのを皮切りに、音楽デュオとして、時にはソロとして幅広く活動していった。

 

主に、LisaはSpencerの作曲した曲を歌い、1985年には現在でいうAmerica's Got TalentのようなStar Searchというオーディション番組にも出演している。その美貌と歌唱力は、ひときわ目を引くものがある。

 

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Jam & Lewisとの出会い

アメリカで最も成功したプロデューサーの1組と言われるJam&Lewisと出会うことになる。Jam & Lewisのすごさといったら、Janet JacksonMichael JacksonBeyonce、Mary J Blige、、Mariah CareyChaka Khan、日本でも宇多田ヒカルaddicted to you」「Wait&See ~リスク~」など、プロデュースしたアーティストを挙げれば、知らない人はいないというほどの実績を持っている。

 

これまで何度となく、手がけた作品やアーティスト、自身もグラミー賞を受賞している。

 

彼らの音楽レーベル、Flyte Tyme Productionの中でLisaは、バックボーカルとして、Spencerは作曲家として関わっていくようになる。

 

代表的なところでは、1986年に発表されたJanet Jacksonの大ヒットアルバム「Control」が挙げられる。

 

このアルバムの中でSpencerはHe Doesn’t know I’m Aliveを提供している。爽やかなディスコっぽいトラックがなんとも言えない心地よさがある。

 

SpencerとJam & Lewisのタッグが見事にハマっている印象。Lisa Keithもボーカルアレンジ、バックコーラスとして参加し、夫婦で良い仕事をしている。

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個人的には、このアルバムでは、Let’s wait Awhileが特に好きな一曲。

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この曲をサンプリングしたBig-punのhow we roll 98も思い出深い。

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SaxプレイヤーのEverette Harpによるカヴァーも非常にムーディーで秀逸な仕上がり。

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この後もJanet Jackson & Herb Alpertの「Diamonds」、「Making Love in the Rain」ではリードボーカルとして参加するなど、R&B畑のアーティストのバックボーカリストとして仕事の幅を広げていった。

 

当時は、バックボーカリストと経験を積みながら、デビューアルバムを出すケースはわりと多かったように見える。

 

Making love in the Rainを聞くと、やはり、この曲をサンプリングしているBone Thugs - Days of our livesを思い出さずにはいられない。

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 この時期、Jam&Lewisは飛ぶ鳥を落とす勢いで、そのお抱えシンガーであるLisaがバックボーカルとして参加した作品は数えきれないほどある。

 

なお、Lisa Keithはポップミュージシャンではあるものの、参加した作品を見てみると、R&Bミュージシャンでの仕事が多い。

 

Jam&Lewisの手がける楽曲がR&Bであることが大きいが、それだけでなく、歌唱力、Spencerの作曲家として力、二人のデュオとしてのソングライティングの才能ゆえの活躍であったといえる。

 

最初で最後のソロアルバム

 

二人は、Jam & Lewisの元で、多くの経験を積み、1993年に満を辞してLisaのソロアルバム「Walkin’ in the sun」をリリースする。残念ながら、最初にして最後のソロアルバムになってしまうのだが、このアルバムは今聴いても名盤だと思う。

 

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Lisa Kieth「Walkin' in the sun」

 

Jam & Lewisプロデュース、リリースされたレーベルもJam Lewis主催のPerspetive Records、という全面的にJam & Lewisのサポートの元にリリースされている。

 

シングルカットされた「Better than you」は36位、クラブ向けなR&Bテイスト「I’m in love」は、84位と、ビルボードチャートにランクインしている。

 

リリース時にはプロモーションで来日しており、TVに出演した際に披露したI’m in loveのアコースティックバージョンが素晴らしい。Spencerの伴奏で伸び伸びと歌うアコースティックバージョンはダンストラックとは一味違った魅力があり、これこそがSpencer & Lisaの本来の魅力のように見える。

 

I’m in love(acoustic version)

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このほか、「Sunshine Daydreamin’」、「Love for All Seasons」など爽やかで聴きやすいR&Bも収録されている。

 

Jam & Lewis色の強いR&Bテイストの曲は、当時は好んで聴いており、今でも好きな曲だ。改めて、このアルバムを通して聴いてみると、年齢を重ねたのか、「Walkin’ in the sun」、「World of Joy」と言ったミディアムバラード、バラードの楽曲の良さに気がつく。

 

メジャーデビューから一転

 

ようやくデビューアルバムをリリースし、TV、Live、次の作品の制作へと向かおうとしている時に変化が訪れる。LisaがB型肝炎にかかり、多くの仕事をキャンセルすることになってしまったのだ。

 

そこで彼らは自分自身の音楽活動を見つめ直すことになる。どちらかといえば、ポップス中心の音楽性だったが、元々はカントリーミュージックなどを好んでいたこともあり、96年にテネシー州ナッシュビルで生活することを決めた。

 

さらにその2年後、音楽業界から離れることを決意し、子育てに専念するために、地元のミネアポリスで生活することを決断する。

 

現在の活動

SpencerはEvergreen churchという協会で牧師、ギターの先生、音楽ディレクターとして働いている。Lisaは、子育てに専念していたが、手が離れたため、ホームスクールの聖歌隊を指導したり、歌唱指導などもしているようだ。

 

二人は再び楽曲の制作、Liveを開始している。たらればを言ったらキリがないことは確かだが、継続して活動していたら、おそらく多くのヒット曲をリリースしていただろう。しかし、病気や自らの音楽性を見つめ直すことによって、本当に自分に必要なものは何か、そんな決断を早くできたからこそ、最初に掲載したような素敵な写真の二人がいるのではないだろうか。

 

Spencer Bernardの本人のアカウントと思われるYoutubeチャンネルには直近の二人のLiveや昔の音楽番組出演時の動画がアップロードされている。

http://  https://www.youtube.com/watch?v=4KzfQ49mMhc 

 

Dynamic Duoというチャンネルに掲載されている二人のインタビューも実に興味深い。ちなみに、他の動画でアップロードされているTerry Lewisのインタビューも実に面白い。

 

www.youtube.com

 

 

Spencer & Lisaは、音楽業界の第一線から早く身を引いて、自由気ままに音楽を楽しんでいる。

 

COVIT-19による世界中に大きな影響が出ている。さまざまな施作が実行され、少しづつ前に進んでいるが、まだ先が見えない状態がつづいている。このような状況で何ができるのか。人生観を見つめ直すような感覚を持っている方も多いのではないだろう。

 

SpencerとLisaのその後の人生を追いかけてみて、今自分にとって必要なことが何かを感じさせてもらった気がする。

 

自宅で時間を持て余している人がいたら、昔気になっていたアーティストなどについて調べ直してみると、新たな発見があるかもしれない。

 

(D)

抗体検査を受けてみた

7月17日(金)に新型コロナウイルスSARSCoV-2)の抗体検査(精密検査)を受けてきた。結果は陰性。現段階でこれまでに感染した可能性は低い。今回は、抗体検査を受けた経緯とそこで気づいたことを書いてみる。

 

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抗体検査の結果

目次

 

抗体検査を受けた理由

 

2ヶ月くらい前に、せきが頻繁に出る、倦怠感、匂いを感じないなど、体調が非常に優れない時があった。現在も時々、不調が続く。特に大して動いていないのに筋肉痛になったり、指がしびれるなどの不調を感じていた。

 

東京都の緊急事態宣言が解除された6月1日以降、頻繁に電車通勤していることや、コロナの後遺症で筋肉痛が続いているというケースを知ったことが大きい。もしかしたら感染していたのではないかと思い、今後も定期的に出勤するので、現在の状況を知っておきたかったのが理由だ。

 

6月の中旬ぐらいにお尻から太ももの裏にかけて痛みがあった時に、近所の整形外科に行ったところ、抗体検査を行っていることを目にしていた。何かあれば、近場で抗体検査を受けることが可能でき、予約なしで検査を受けることができるというので、すぐに申し込んだ。

 

抗体検査を受ける場合のポイント

 

抗体検査を受けるべき人

・過去に新型コロナの顕著な症状があった人

・周囲に新型コロナに感染していた人がいたことが後からわかる(PCRでも良い)

・海外や遠距離を移動する前に検査しておく

・体調不良がしばらく続いていて、コロナであるか不安(不安を和らげる要素になる)

 

抗体検査を受けることができない人

・2週間以内に発熱や咳などの風邪症状がある

・2週間以内に新型コロナウイルス感染者と濃厚接触している

・2週間以内に海外渡航歴がある

 

今まさに、症状が出ている人は、抗原検査、PCR検査を受けることになる。病院の受付で検温した段階、あるいは医師の診察段階で検査を断られるだろう。

 

抗原検査とPCR検査の違いは下記の通り

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抗原検査とPCR検査の違い 出典:厚生労働省

参考:厚生労働省新型コロナウイルス感染症に関する検査について」

www.mhlw.go.jp

2種類の検査

 

抗体検査には迅速検査と精密検査の2種類の検査がある。金額、検査結果が出るまでの時間、精度、検査内容が異なる。

 

迅速検査

 

・感度95.7%、特異度96.7

・指先から数滴血を採り、15分で結果が出る

IgM抗体とIgG抗体の有無を調べることができる

・金額は2000円から5000円程度、精密検査とセットで割引になることが多い

 

一例だが、下記の会社から迅速検査のキットを出している

 

韓国 SD BIPSENSOR社

韓国GenBody社

米ALFA SCIENTIFIC DESIGNS社

カナダ Artron Laboratories Inc. 社

 

抗体検査でIgM抗体と、IgG抗体の違い

IgM抗体: 感染初期に現れるものであり、陽性の場合は現在感染中の状態

IgG抗体:感染歴を示すもの、陽性の場合は感染歴あり

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精密検査

・感度100%、特異度99.8%、

・2cc採血して検査する必要あり

・結果が出るまでに数日(2日から5日程度)かかる。

 ・陽性の有無がわかるが、IgM抗体とIgG抗体のどちらが陽性かはわからない。

 ・病院や使用するキットによって異なるが、8000円から1万円くらい

 

受診した病院ではスイス:ロシュ・ダイアグノスティックス社

の精密検査キットを使っており、8800円だった。

 

金額;6000円から 10000円程度

精密検査は、ロシュ社のものが多いようだ。

 

いつ受けるべきか

 

結果的に抗体検査は陰性だったが、これで安心というわけではない。抗体があれば、あったで誰かに感染しているかもしれない。感染源となっていた可能性がある。これから症状が出てきた時は、抗体検査ではなく、抗原検査、PCR検査のどちらかを受けることになるだろう。明らかな症状が出てきた場合という前提になる。

 

そうでない場合は、無症状の可能性が高く、感染者数が落ち着いてきた頃にもう一度検査を受けるのが良いのだろう。できるだけワクチンの接種が可能な状態になることを期待したい。

 

何よりも大事なことは、三密(密閉・密集・密接)を避ける、意識的にソーシャルディスタンスをしっかりと取ることだ。基本的な予防策を講じることが最大の防御策になる。接触確認アプリ「COCOA」も普及すれば、これも一つの防波堤になるだろう。

 

www.mhlw.go.jp

新型コロナウイルスへの理解を深めるために

 

今さらながら、COVID-19について勉強したいという方は、Johns Hopkins Universityがオンライン学習サイト、Courseraで提供しているプログラムで学ぶことの理解を深めるには良い機会になるだろう。英語でという条件は付くものの、すでにある程度の知識がある人でも、専門家の講義を動画で受けることができる。

 

www.coursera.org

John Hopkins UniversityのWebサイトでは、新型コロナウイルスに最新情報もリアルタイムに更新しており、CORONA VIRUS Resource Centerではグローバルの感染者数がヒートマップ上に表示しているほか、アメリカの各州の感染者数の上昇率について、わかりやすいグラフを公表している。

 

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出典:Johns Hopkins University & Medicine COVID-19 GLOBAL MAP

coronavirus.jhu.edu

日本語で情報を仕入れるのとはまた違った角度で新型コロナウイルスの情報を入手することが可能だ。グローバルな視点でCOVID-19について知ることができる。外出自粛が進む中で、コロナ鬱など精神的に滅いる人も少なくないが、あらためて学ぶことで新型コロナウイルスとの付き合い方、考え方が変わってくるのではないだろうか。

(D)

20年ぶりの読書感想文

 COVID-19の感染者数の増加にともなって、東京をはじめ全国で外出自粛令が出ている。緊急事態宣言が出るのも時間の問題とも言われるも、なんとも煮えきれない状態が続いている。

 

そうしている間にも感染者数は加速的に増加している。刻々とアップデートされていく情報を集めながら、どのように時間を過ごしていくか、肉体的な健康だけで精神的にも健康に過ごしていくかが感染しないためには必要だ。

 

 在宅勤務の際に働きやすい環境を作るのと、気分転換も兼ねて、部屋の掃除をしていたところ、懐かしい資料が出てきた。

 

 かれこれ20年近く前に書いたと思われる文章の数々だ。ラップの歌詞や詩、小説、さまざまな創作物があり、甘酸っぱい記憶がよみがえる。当時読んでいた村上春樹の影響を強く受けた文体など、読んでいるこちら恥ずかしくなるような思いに駆られる。

 

 青春の1ページの寄せ集めのような作品群を見ていると、大学のレポートを発見した。「リング」「らせん」「ループ」というタイトルだ。今から20年近く前、大学の同級生から急にレポート形式の読書感想文をくれたことを思い出した。

 

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読書感想文にはしっかりと表紙も付けられていた

 

下記は友人が書いた読書感想文である。

 

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「リング」「らせん」「ループ」

 

 この3つの長編小説を読み終えたとき、いつもの「小説を読み終えた」という達成感を感じた。「リング」にしても「らせん」にしても「ループ」にしても全部350ページ程度あるのに6日間という早さで読み終えた。やはりこれはこれらの小説が面白かったということに尽きると思う。「リング」「らせん」は、ホラーというイメージがあったのに「ループ」ではホラーのホの字もなかった。

 

 「ループ」の中では、「リング」「らせん」の世界は『ループ』という仮想世界になっていたのには少々驚かされた。ということは、「ループ」に出てくる人たちもまた仮想世界の生物なんだということがわかると思う。

 

 それにしても、よくできているなと思う。あとがきで著書は「リング」を書き終えたとき「らせん」の内容が決まっていなかったと書いている。僕はこの3部作のつながり少しバック・トゥ・ザ・フューチャー1・2・3に似ているなと思った。過去の影響は未来に影響し、未来に起こっていることは過去に原因があるというような感じで。

 

 ところで、僕は先に「リング」の映画版を見ているので、本の内容と少し違う部分にがっくりきた。まったく同じ内容にすればいいのにと思った。映像で見ているせいもあって高山竜司は、頭の中でずーっと真田広之であった。そして、高野舞も中谷美紀だった。他の登場人物は全部頭の中で想像している人だ。もし映画を見ていなければこの2人も変わっていただろう。

 

 この3つの連続小説を読み終えたことで得たことが1つある。それは本がスゴいということだ。いや、言い方がいけなかったかもしれない。鈴木光司という人がスゴいのだ。どうやったら本の中であんなに恐い描写や、エッチな描写を書けるのが不思議でならない。

 

 後者のほうは他の作家でもっと優れている人がいるのかもしれないが、前者の方はまったくもって「本当に怖かった。」。読み終わった後、1人で眠れなかったのは事実だ。隣の部屋の友達には迷惑をかけた。その後もときどき恐怖がよみがえってきたこともあった。しかし、「リング」「らせん」「ループ」を全て読み終え、これらを1つの物語と考えると恐さが消え、なにかもっと違う、言葉で言い表せない感情が今、胸の中に残っている。また最初から読み始めると同じ感情が繰り返されるだろう。

 

 最後に、今回なぜかわからないがこういった感想文を書いてしまったのは、自分でも驚きに値する。宿題で出された感想文は一言も書けないのにこんなにすらすらと書けたのはこの本が神で僕に書けと命令を下したのかもしれない。

今、僕たちが生きている現実は、後の未来においては『ループ』という仮想世界かもしれない。

 

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 背伸びせずに素直に感想が書かれている。文章を書かない学生が思わず筆を取り、感じるままに感想を述べた。つたない表現力がかえって躍動感を持たせているように思えるほどだ。やはり本には人の心を動かす力があるのだと感じさせてくれる感想文だった。

 

 友人が感想文を書いた理由としては、私が3冊の小説を読み終えて、絶賛していたことが背景にあるのだが、レポートの形式でこの感想文をもらった時は非常に驚いた記憶がある。その時も嬉しかったが、今、読み返してみて、タイムカプセルのように色あせない感想文をくれた友人に感謝せずにはいられない。

 

 友人とは学生の時以来、連絡を取っていない。かれこれ20年近く経っているだろうか。このタイミングで読み返すということは、何かのメッセージなのかもしれない。もしかすると、これも仮想世界なのだろうか。

 

 

 それを確かめるために20年ぶりに旧友へ連絡してみることにする。

 

 

 (D)

紅茶をめぐる旅(1)増田園本店

気が付けば紅茶関連の本を読んだり、紅茶専門店に足を運ぶなど紅茶の魅力にどっぷりとハマりつつあるこの頃。好奇心はとどまらず、2020年の4月から本格的に紅茶について学ぶことにした。紅茶の専門家としてしかるべき場所で学ぶことになるわけで、事前学習として自主的に行動を開始したところだ。

 

紅茶を専門的に学ぶことについては別の機会に書こうと思うが、「紅茶をめぐる旅」として紅茶専門店や紅茶に関するトピックを連載の中で取り上げていくことにする。

 

目次

 

入間市 増田園本店

 

記念すべき1回目は、入間市にあるお茶屋増田園本店

 

増田園本店は、入間市狭山茶を生産している老舗の茶農家であり、入間市内でお茶を販売しているほか、地域で採れた食材などを使ったカフェなども経営している。

 

狭山茶は、京都の宇治、静岡、鹿児島の知覧とならび、日本茶の三大銘茶の一つとして知られている。4つあるのに三大銘茶と言われる理由は不明だが、お茶の名産地として歴史と質の高さは確かだ。埼玉の民謡、狭山茶摘歌には「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめをさす」といった一節もあり、狭山茶の特徴を表現する際に引用されることがある。

 

入間市は、狭山茶の6割を生産している。所沢、狭山と続いているので、狭山茶だから狭山市がもっとも生産量が高い訳ではないようだ。

 

狭山茶といったら緑茶でしょ?そう思う方もいるだろう。緑茶もウーロン茶も紅茶も茶葉は同じなので、狭山茶を生産している茶農家でも紅茶も作っている。

 

和紅茶に注目

 

国産の紅茶は和紅茶と呼ばれ、近年注目が集まっている。海外からもWakochaの名称で呼ばれるなど、知名度が徐々に上がってきている。その中で、地域で生産される紅茶を地紅茶とも呼ばれ、地ビールのような新たなブランドとして茶農家が生産に取り組みはじめている。

 

昨年9月には枻出版社から「ニッポンの地紅茶完全ガイド」といった全国の地紅茶だけを紹介する本も出版されており、和紅茶・地紅茶の注目度が表れているようにみえる。この本が一冊あれば、紅茶の旅ができそうなくらい全国には地紅茶を生産している茶園がある。

 

www.ei-publishing.co.jp

 

 

まさに紅茶ビギナーで勉強したての自分にはぴったりだ。普段、飲んでいる紅茶はインドやスリランカ産の紅茶なわけだが、身近な場所で生産された国産の紅茶は非常に興味深い。さっそく、本書を購入し、読んでいたら、東京から1時間以内で行ける茶農家が予想以上にあることを知る。実は東京でも茶農家があるという事実を知って、ますます興味が湧いてきた。

 

地紅茶を研究する地紅茶学会も発足していたり、国内での動きが活発化している

 

地紅茶学会

https://kouchanokai.jimdo.com/%E5%9C%B0%E7%B4%85%E8%8C%B6%E5%AD%A6%E4%BC%9A-conference/

 

紅茶の会によって主催されている地紅茶サミットは2002年から開催されていて、今年は愛知で開催された。非常に行きたかったが、都合が合わず断念。

 

地紅茶サミット2019 in 愛知

jikoucha-aichi.com

 

 

地紅茶完全ガイドを読みながら、どこか近場で地紅茶を味わえる茶園はないものかとさがしていたところ、日本三大銘茶に入っている狭山の紅茶に目が留まった。いきなり茶畑にいったところで、茶摘の季節は終わっているし、紅茶の製造時期も終わっている。この時期、茶畑に行っても何も見られるわけではないのだ。

 

そんなわけで、1時間以内で行けるとはいえ、お茶が売っていて、試飲できるぐらいだとテンションも上がらないので、カフェも運営している入間市の増田園に行くことにした。

 

レッドアロー号で30分

 

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たまたま有給を取っていたため、時間ができたので、平日の昼間に入間市へと向かった。旅気分を味わいたいので、池袋からレッドアロー号に乗って、しばし車窓からの景色を楽しむ。わずか15分もしないくらいで所沢に到着。そして、あっという間に入間市へと到着した。ほとんど旅気分を味合うこともなく、着いてしまったため、もう少し電車に乗っていたいくらいだった。平日の昼間ということもあるが、車内は人も少なく、快適。

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入間市へ来たのは今回で3回目。最後に来たのは15年前で、土地勘もないため、ほぼはじめての感覚だ。この日はあいにくの曇りで12月上旬でもやや寒かった。東京に比べると、やや寒い印象。

 

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久しぶりに降りた入間市は、、、まったく覚えていない。。

 

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駅前は駅ビル以外はこれといった建物はなく、寂し気な印象があったが、駅から5分ほど歩くと、地元のデパートや映画館が入った建物などがあるエリアが出現する。もう増田園の近くなんですけど。。。少し田舎っぽい場所にあるかと思いきや、わりと繁華街にも近く、道路沿いにある住宅街の一角に看板を発見した。

 

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狭山茶、国産紅茶と書かれたのぼりが見える。ひとまず腹ごしらえをしてからお茶屋に入るため、看板を左に回った。敷地内には駐車場があり、併設されたガレージには薪(まき)らしきものがある。それがなんとも言えない趣深い雰囲気を醸し出している。その一角に3階建てのカフェを発見した。

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入口にはフランス料理ののぼりがあり、カフェ茶蔵という木製の看板が設置されている。

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カフェレストラン 茶蔵

http://cafesakura.main.jp/

 

入口のガラスにはコンサートのチラシが貼ってある。どうやらカフェではコンサートが時々開催されていることがうかがえる。

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さっそく中に入ってみると、階段を上ったところにアンティーク調の家具やステンドグラスのランプが置かれている。目指す先に見えるカフェの雰囲気がすでにうかがい知れ、期待感が増してくる。

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中二階にはアンティークの和ダンスや時計などの置物が置かれていたり、蔵として使われていたのかと思われるものが設置されていた。石原裕次郎のポスターは2020年ですが。。

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階段を上った先にカフェの入り口を発見。大理石風の石に緑色のグラスで、中が見えないが、若干の緊張が走る。

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アンティークの家具に囲まれて優雅なひとときを

 

中に入ってみると、頭上には派手すぎないシャンデリア、ステンドグラスを使った照明がヨーロピアンな雰囲気を演出している。店内にはアンティークの家具が置かれ、趣のあるティーカップなどが絶妙な配置で並べられ、オーナーのセンスを感じさせる居心地の良い空間だ。

 

片隅にはピアノがあり、飾りというよりは実際に使われていることが状態からわかる。入口に貼られていたポスターのようなコンサートが定期的に行われているのだろう。店内には実に優雅な時間が流れている。

 

お客の平均年齢は50代から60代といったところだろう。時間と暇を持て余した地元のマダムたちの憩いの場なのかもしれない。隣のマダム2人組は今晩予定しているおかずの作り方や旅行に行った時に食べたアジの話で盛り上がっている。

 

そんな中、平日の昼間に入間市のフランス料理店に一人で入る中年の男。たまたま有給を取っていて、何も予定がなかったのもあるが、できれば2人以上で来ることをおすすめしたい。ただ、一人で来ても十分楽しめたので、一人でも居心地の悪さを感じることはないだろう。

 

注文したのはシェフのおすすめのランチ。

肉料理と魚料理から選ぶことができ、前菜、スープ、メインの肉料理(地鶏のソテー)、紅茶、デザートで1800円(ライス付き)。

 

前菜のサラダに始まり、エビのスープ、地鶏のソテー、お茶の葉を使ったババロアのムースもなかなかの味。1800円は比較的リーズナブルに感じたほど満足な内容だった。デザートと紅茶のペアリングも十分楽しむことができた。

 

食後に、今回の目的である。カフェに隣接している増田園本店に入った。お店に入ると、優しいおば様と叔父様が出迎えてくれて、温かい狭山茶とお茶菓子を出してくれた。

 

お茶屋で飲む、緑茶は格別なものがある。紅茶目当てで来たものの、味は狭山でとどめをさすという言葉ににふさわしい深みのある風味に魅了された。

 

2010年から紅茶作りを開始

 

さて、お店の方に増田園本店で作っている紅茶について話を聞いてみた。

増田園では2010年ぐらいから紅茶作りをはじめた。埼玉県茶業協会の指導のもと、狭山茶の茶農家が一斉に取り組み始めたという。最初にできた紅茶は美味しいものではなかったが、試行錯誤の結果、ようやく良いものができるようになったという。

 

増田園本店で販売している紅茶は2種類あり、狭山紅茶のファーストフラッシュ、セカンドフラッシュである。いずれもティーバッグ、リーフタイプがある。私のような紅茶ビギナーもいると思うので、ファーストフラッシュとセカンドフラッシュについて説明しておこう。

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茶葉が収穫された時期のことを示しており、ファーストフラッシュが春、セカンドフラッシュが夏に収穫された茶葉になる。秋に摘まれた茶葉はオータムナルと呼ばれたりもする。

 

池袋から電車で30分

 

増田園は、入間市など複数の場所に茶畑を保有しており、狭山茶、狭山紅茶を生産している。現在農地を手放す人も多く、茶畑の拡大、生産量を拡大しているとのころだ。お茶離れが進むと言われ、お茶の生産量が下がったりしている茶園などがある中で、生産を拡大しているのは珍しいともいう。

 

狭山茶はもちろん、狭山紅茶、カフェなど、お茶と食の普及に向けて、新たな挑戦を続ける老舗、茶農家の増田園本店の取り組みには今後も目が離せない。

 

池袋から電車で30分で行けるお茶の老舗、増田園本店。カフェ「茶蔵」でランチと美味しい紅茶を楽しみ、隣の増田園本店で緑茶を楽しみつつ、お土産に狭山茶、紅茶を買って帰る。こんな休日の過ごし方はいかが?

 

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増田園本店

masudaen-honten.co.jp

カフェ「茶蔵」

cafesakura.main.jp

地球に優しい中国茶交流会

あけましておめでとうございます。

 

昨年書いた記事ではあるものの、公開までに時間がかかったので休みの期間を利用してようやくアップロードできた。

 

最近、紅茶に興味を持ったことがきっかけで、お茶そのものについて調べるようになった。

 

緑茶、烏龍茶、紅茶、いずれも同じ葉っぱからできたものであり(紅茶に特化した葉を作っている農家もある)、製造工程の違いによってお茶の種類が変わる。紅茶を学ぶ中で、他のお茶そのものについても自然と情報が入ってくることになる。お茶に関するアンテナの感度が上がってきている。

 

目次

 

国内最大級のお茶の愛好家による総合イベント

 

情報収集をしていると、気になるお茶のイベントが開催されていたので参加してみた。その名も「地球にやさしい中国茶交流会」だ。変わったネーミングだが、すでに今年で15回目を迎える歴史あるイベントだ。 

 

中国茶台湾茶を中心としたお茶の総合イベントで、お茶の愛好家によって企画運営されている。ボランティアも多数参加していて、愛好家によるイベントとしては国内最大級となっている。

 

 

2019年は11月23日(土)、24日(日)の2日間に渡って開催された。

 

主なイベント内容は、

 

ティーマーケット

中国茶セミナー

イベント(テイスティングなど)

茶席

交流ひろば

 

まさにお茶を買って、飲んで、最新のお茶を知り、お茶好きと交流できる、お茶好きのためのイベントである。

 

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茶席が魅力

 

このイベントの最大の特徴にして、人気が高いのが茶席だ。様々なタイプのお茶のいれ手による楽しい会話、お茶とお菓子を堪能できる。ワンコイン茶席、ツーコイン茶席という名前で、500円で20分間の茶席、1000円で2つの茶席を楽しむことができる。

 

茶席のいれ手の詳細は事前に公開され、当日に茶席券が発売される。お目当ての先生の茶席を求める人など、茶席券の購入には長蛇の列ができるほどの目玉企画となっている。

 

残念ながら今回は時間の都合で参加できなかったが、次の機会には茶席を体験してみたい。

 

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初心者にもやさしいイベント

 

ティーマーケットでは、マイカップを持参すれば、様々な中国茶台湾茶を試飲することができる。中国茶、紅茶も楽しむことができ、茶器も購入でき、興味を持ったらすぐに中国茶のセットを手に入れることができ、初心者も楽しめる敷居が低いイベントだ。

 

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私は、前から気になっていた岩茶、台湾紅茶、茶器を購入し、非常に満足したティーマーケットだった。

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白茶を飲み比べ 

 

ティーマケットだけでなく、予約制の中国茶セミナーにも参加してみた。

表参道で中国茶専門店「遊茶」を経営する藤井真紀子氏による白茶に関するセミナーで、白茶の魅力やトレンドを紹介するとともに、1年、3年、15年と年代物の白茶の飲み比べを行った。

 

お茶は、大きく分類すると、緑茶、紅茶、烏龍茶、白茶、黄茶、黒茶に分類される。この分類は中国が国家として定義しているもので、ここから派生して細かい分類が行われる。お茶は6つのうちのどれかに該当することになる。

白茶と黄茶は日本でもまだなじみがないと思われる。私も名前は聞いたことがあるぐらいの認識で、ほとんど知らなかったほどだ。

 

中国でも、認知度は低く、6つのお茶の生産量を見ると、2018年で白茶は1.3%、黄茶は0.3%しかない。このため、白茶は稀少性が高い。

 

シンプルな製造工程 

 

白茶の特徴はその製造工程にあり、緑茶や黒茶が殺青(さっせい)ー発酵状態の時に釜で炒るー、揉捻(じゅうねん)ー機械で上から圧力をかけ、揉み、水分を均一化するーと行った工程がなく、萎凋(いちょう)ー茶葉を広げ、葉の水分を飛ばして、しおれさせることー、乾燥という2つの工程しか持たない。つまり、葉の水分を飛ばし、乾燥させるだけのため、シンプルな味わいになる。

 

白茶は、緑茶や烏龍茶よりも歴史が古い。製造工程こそシンプルではあるものの、徐々に水分を落としていくいちょうの工程管理によって品質が大きく変わってしまうほど繊細な管理技術を要求される。

 

15年熟成させた白茶の魅力

さて、初体験の白茶を飲んで見ると、さっぱりとして、深みのある味が何よりも印象的だった。白茶は子供でも飲めると言われており、まさに飲みやすさが魅力的であった。そして、熟成される年数が増すに連れて、香りと味が変化していくのがよくわかった。香りがもっとも強かったのは3年だったが、味のまろやさ、深みはダントツで15年ものであった。このようなお茶の奥深さについて、白茶を通して気づくことができたことが何よりも収穫であった。

 

中国茶の新たな魅力を感じられるイベントとしては非常にぜいたくなイベントだ。

1日券で1000円、2日通し券で1500円、マイカップを持ってティーマケットを周るだけでも十分楽しめる。さらには茶席にも参加すれば、お菓子と中国茶の楽しい世界と会話が楽しめる。

 

文字通り、お茶を通した交流会としての魅力が詰まったイベントであった。お茶に興味のある人はもちろん、ひと味違ったイベントを探している人は足を運んでみてはいかがだろうか。

 

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地球に優しい中国茶交流会

ecochakai.jp

 

中国茶を楽しもう

www.youtube.com

モスバーガーから見た紅茶の魅力

 

コーヒーを巡る飲食業界のマーケット争いは激しい。

スターバックス、ブルーボトル、ヴェローチェ、ドトールエクセルシオール

それに加え、マクドナルドなどのファストフードで手軽にコーヒーを飲む方も増えている。最近だとコンビニエンスストアもコーヒーに力を入れていて、売り上げも好調だ。

 

コーヒーを飲む方にとってはより気軽に飲めるようになってきたというところだ。

 

普段、紅茶を飲んでいる私にとっては、その状況がうらやましい限りだ。

その理由は、お店もコーヒーの種類もユーザーにとって選択肢が豊富にあるからだ。マーケットとしては頭打ちに見えるが、コーヒー業界の競争は今後も続くのだろう。

 

目次

 

紅茶のマーケットはこれから

 

紅茶にいたっては、タピオカミルクティーのようなスイーツは別として、アイス、ホットティーロイヤルミルクティーの3種類といったところが多い。

もうちょっと頑張っているところだと、ダージリン、アッサム、アールグレイフレーバーティーを提供している場合があるが、決して多いとはいえない。それだけに紅茶のマーケットには可能性がある。

 

この点については、前回の記事で17店舗のカフェの紅茶の種類と価格について触れているので、読んでほしい。


コーヒー専門店と比べた場合、紅茶専門店は圧倒的に少ない。紅茶専門店と言われて、アフタヌーンティーのような店を除くと、積極的に調べなければ見かけることは少ない。紅茶専門店に行ってみると、種類がありすぎて、どれを選んでよいかわからないほどだ。とはいえ、専門店の紅茶は2、3杯は飲める量といっても、けっこうな値段がする。1200円から、2000円ぐらいの間だったり、スイーツとセットにすると、気軽に入るにはハードルが高い。

 

1世帯あたりの紅茶の購入金額は千円未満

 

総務省の家計調査で、紅茶の世帯別の年間の消費量や購入頻度を見ると、1世帯当たり、コーヒーには6千円程度だが、紅茶は千円にも満たない。消費の観点でも紅茶はまだなじみがないと言えるのだろう。

 

さらに、コーヒーと紅茶の違いは、飲むスピードが大きく異なる。コーヒーはどちらかというと、長く味合うよりも、比較的短い時間で味合う人が多い。

 

一方で、紅茶は提供されるまでの時間、いっぱいを飲むまでの時間が長い。それだけに、心にも時間にも余裕があるときに飲まれているように感じる。特にポットで提供される場合だと2、3杯は飲めるし、スイーツなどとセットになることも多く、紅茶を飲むこと自体が少しぜいたくなのかもしれない。

 

アフターヌーンティーといった文化もまさにそれを象徴していて、じっくりとお茶を楽しむ文化がある。そこが紅茶の良さであったりもするのだが。

 

ともかく、紅茶のクオリティがもう少し上がってほしい。もちろん、専門店であればおいしい紅茶を飲めるが、専門店でなくてもそこそこの値段でおいしく紅茶を飲みたい。

 

ティーポッドで提供される紅茶の方がおいしいのは言うまでもないが、どこでも飲めるわけでもないので、ティーバッグでも仕方ない。

 

では、ティーバッグの紅茶はおいしくないのか。気軽に飲めて、提供するまでの時間も短い。味はティーポッドと比べると劣るが、ティーバッグ自体も改良されて、よりおいしい紅茶が飲めるようになっている。

 

モスバーガーの紅茶へのこだわり

 

ティーバッグの紅茶にもおいしいものがあり、気軽に飲めるファストフードやカフェもあると感じさせてくれた例を紹介したい。

 

私は、カフェや喫茶店などで本を読んだり、勉強をしていることが多く、紅茶を飲むことが多い。最近、チェーン店のカフェなどで紅茶を飲んでいて、一つ気が付いたことがある。

 

よく利用している駅にあるカフェにあるのがモスバーガーというのもあるが、それにしても、他のファストフードやカフェと比べて、おいしい気がする。量は少ないが、安価でしっかりとしたフタがされる。茶葉といい、その風味もファーストフードとしては十分なクオリティだと思う。

 

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大崎のモスバーガー

 

モスバーガー系列には紅茶専門店マザーリーフ」がある。紅茶とワッフルを楽しめるカフェである。モスフードサービスのグループには「あえん」といった自然素材にこだわった和食店もあり、食へのこだわりが紅茶へのこだわりにつながっている。

 

あらためて、モスバーガーのホームページで紅茶を調べてみると、なんと紅茶を監修しているのが、紅茶に関する数々の著書を執筆している、業界の重鎮、磯淵猛氏の監修によるものである。残念ながら磯淵氏は今年2月に他界されている。しかしながら、このような専門家によるプロデュースによる紅茶を提供している。スリランカの茶園で手摘みされた、厳選された茶葉を直接仕入れて、使用しているという点からも、紅茶にこだわっていたわけだ。

 

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紅茶好き、あるいは紅茶を近場で飲みたいと思った方はモスバーガーに足を運んでみると、ひと味違った紅茶を楽しめるだろう。

 

・紅茶キャンディ茶葉(レモン・ミルク)

・ルフナティー

 

いずれも232円(+税)となっている。

 

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ルフナティーは砂糖を入れなくて甘みを感じられる

個人的にはモスバーガー系列のお店が集まった大崎駅をお勧めしたい。モスフードサービスの本社が入ったビルには、マザーリーフモスバーガー、和食のあえんもある。紅茶巡りの後に和食のディナーも良いだろう。

 

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ガラス張りのお洒落な外観が印象的なマザーリーフ大崎店

 

モスの紅茶

www.mos.jp

 モスの紅茶(動画)

www.youtube.com

 

 

今だから知りたいカフェの紅茶

今だから知りたいカフェの紅茶

 


カフェや喫茶店に行ったら何を飲みますか?

コーヒー派、紅茶派、どちらでもないという人もいると思いますが、コーヒーを飲む方が多いのではないでしょうか。

 

目次


 

 紅茶派は26.0%

 

リサーチメディアのfor Real?が2017年に男女年齢別、2998人に行ったアンケート調査によると、コーヒーが好きな人が64.8%、紅茶が好きな人が、26.0%、どちらでもないが9.2%となっています。

 

調査の結果を見るかぎり、コーヒー派は紅茶派の倍以上となっています。紅茶派は3割にも満たないわけです。本調査はどちらが好きかというものなので、コーヒー派でも紅茶を飲む人はいますし、実際に紅茶を飲んでいる人はもう少し多いようにみえます。

 

カフェの紅茶は種類が少ない

 

私は紅茶派です。紅茶を飲んでいてふと思うのは、紅茶が少数派であることです。

特に感じるのはカフェや飲食店での紅茶の種類の少なさです。近年タピオカミルティーの人気が爆発し、次々と専門店ができているものの、紅茶専門店はコーヒーに比べると非常に少ないです。

 

もっとおいしい紅茶を飲みたいと思って、専門店に行くと、敷居が高い、種類がありすぎて、選べない。そして、気軽に入るにはすこし高い。ホテルのアフタヌーンティーも3000円から4000円くらいはします。紅茶専門店ほどではないにしても、紅茶の選択肢が多い店を探そうとすると、それほど近場にない場合もあります。

 

茶店やカフェになるとアイスティー、ホットティー、ぐらいしか選択肢がないのです。レストランやおしゃれなカフェに行くと、フレーバーティーなど、やや選択肢は増えますが、専門店とカフェや喫茶店の差がありすぎるという印象です。まさに手頃な値段の普段使いの紅茶のお店が少ないです。ポットで2、3倍飲める美味しいカフェはあるわけですが、一杯でそこそこの値段で美味しいというお店が少ないようにみえます。

 

実際にカフェの提供している紅茶のメニューを見てみると、以下になります。

(価格は店舗によって異なる場合があります)

 

主要なカフェ、17店舗のメニューの中で、ストレートティーに絞ってみると、ティー、アイスティーの2種類です。ダージリン、アッサム、アールグレイといった茶葉の種類を選択できるのが、9つのカフェです。

 

      都内17店舗で提供されているストレートティーと価格

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都内17店舗のカフェの紅茶の種類(ストレートティーのみ)と価格

ポットで紅茶を提供しているのが、プロント、ルノアールコメダコーヒー、オスロコーヒー、星乃珈琲店マザーリーフなどです。ポットで提供している分、2、3杯分あるため、価格も通常のカップで提供しているものと比べると、2倍から3倍する店舗が多いです。

 

多くのカフェは、茶葉の種類こそ選べる場合もありますが、紅茶にこだわっているかどうかがよく見えない。コーヒーがメインで、紅茶はサブのメニューとしての位置付けで、茶葉など、詳細が書かれていないものが多いです。

 

ルノアールの紅茶 

 

実際のところ、他のカフェや喫茶店の紅茶はどうなのでしょうか。老舗のルノーアールについて調べてみました。メニューには紅茶の詳細については何も書かれていないため、問い合わせてみたところ営業担当の方から以下のような回答がありました。

 

「マイルドで確かな風味のスリランカブロークンオレンジペコーをセレクトさせていただいております。くせのない優雅な味と香りはどんな飲み方にも合い、バリエーションティーにも最適とうたわれております商品です」

 

詳細な茶葉のことなどに触れていないが、丁寧な回答を頂いた。他にもオスロコーヒー、コメダ珈琲、星乃珈琲店、コーヒーがメインだが、実は紅茶にもこだわっている店がある。ポットで提供している分、値段もそれなりにするが、珈琲にこだわっているように、紅茶にもこだわりを感じさせる。そして、マザーリーフは300円代(大崎店)ながらポットで提供しています。チェーン店で紅茶の種類が豊富な店といえば、アフタヌーンティーもあります。

 

コーヒーを売りにしたカフェは、飽和状態で頭打ちの印象もありますが、紅茶専門店、紅茶を取り扱うカフェは、まさにこれからです。ティーカルチャーのさらなる普及に期待したいと思います。

 

(D)

 

参考:

for Real?

コーヒー派?紅茶派?あなたはどっち派?

for-real.jp