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紅茶をめぐる旅(1)増田園本店

気が付けば紅茶関連の本を読んだり、紅茶専門店に足を運ぶなど紅茶の魅力にどっぷりとハマりつつあるこの頃。好奇心はとどまらず、2020年の4月から本格的に紅茶について学ぶことにした。紅茶の専門家としてしかるべき場所で学ぶことになるわけで、事前学習として自主的に行動を開始したところだ。

 

紅茶を専門的に学ぶことについては別の機会に書こうと思うが、「紅茶をめぐる旅」として紅茶専門店や紅茶に関するトピックを連載の中で取り上げていくことにする。

 

目次

 

入間市 増田園本店

 

記念すべき1回目は、入間市にあるお茶屋増田園本店

 

増田園本店は、入間市狭山茶を生産している老舗の茶農家であり、入間市内でお茶を販売しているほか、地域で採れた食材などを使ったカフェなども経営している。

 

狭山茶は、京都の宇治、静岡、鹿児島の知覧とならび、日本茶の三大銘茶の一つとして知られている。4つあるのに三大銘茶と言われる理由は不明だが、お茶の名産地として歴史と質の高さは確かだ。埼玉の民謡、狭山茶摘歌には「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめをさす」といった一節もあり、狭山茶の特徴を表現する際に引用されることがある。

 

入間市は、狭山茶の6割を生産している。所沢、狭山と続いているので、狭山茶だから狭山市がもっとも生産量が高い訳ではないようだ。

 

狭山茶といったら緑茶でしょ?そう思う方もいるだろう。緑茶もウーロン茶も紅茶も茶葉は同じなので、狭山茶を生産している茶農家でも紅茶も作っている。

 

和紅茶に注目

 

国産の紅茶は和紅茶と呼ばれ、近年注目が集まっている。海外からもWakochaの名称で呼ばれるなど、知名度が徐々に上がってきている。その中で、地域で生産される紅茶を地紅茶とも呼ばれ、地ビールのような新たなブランドとして茶農家が生産に取り組みはじめている。

 

昨年9月には枻出版社から「ニッポンの地紅茶完全ガイド」といった全国の地紅茶だけを紹介する本も出版されており、和紅茶・地紅茶の注目度が表れているようにみえる。この本が一冊あれば、紅茶の旅ができそうなくらい全国には地紅茶を生産している茶園がある。

 

www.ei-publishing.co.jp

 

 

まさに紅茶ビギナーで勉強したての自分にはぴったりだ。普段、飲んでいる紅茶はインドやスリランカ産の紅茶なわけだが、身近な場所で生産された国産の紅茶は非常に興味深い。さっそく、本書を購入し、読んでいたら、東京から1時間以内で行ける茶農家が予想以上にあることを知る。実は東京でも茶農家があるという事実を知って、ますます興味が湧いてきた。

 

地紅茶を研究する地紅茶学会も発足していたり、国内での動きが活発化している

 

地紅茶学会

https://kouchanokai.jimdo.com/%E5%9C%B0%E7%B4%85%E8%8C%B6%E5%AD%A6%E4%BC%9A-conference/

 

紅茶の会によって主催されている地紅茶サミットは2002年から開催されていて、今年は愛知で開催された。非常に行きたかったが、都合が合わず断念。

 

地紅茶サミット2019 in 愛知

jikoucha-aichi.com

 

 

地紅茶完全ガイドを読みながら、どこか近場で地紅茶を味わえる茶園はないものかとさがしていたところ、日本三大銘茶に入っている狭山の紅茶に目が留まった。いきなり茶畑にいったところで、茶摘の季節は終わっているし、紅茶の製造時期も終わっている。この時期、茶畑に行っても何も見られるわけではないのだ。

 

そんなわけで、1時間以内で行けるとはいえ、お茶が売っていて、試飲できるぐらいだとテンションも上がらないので、カフェも運営している入間市の増田園に行くことにした。

 

レッドアロー号で30分

 

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たまたま有給を取っていたため、時間ができたので、平日の昼間に入間市へと向かった。旅気分を味わいたいので、池袋からレッドアロー号に乗って、しばし車窓からの景色を楽しむ。わずか15分もしないくらいで所沢に到着。そして、あっという間に入間市へと到着した。ほとんど旅気分を味合うこともなく、着いてしまったため、もう少し電車に乗っていたいくらいだった。平日の昼間ということもあるが、車内は人も少なく、快適。

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入間市へ来たのは今回で3回目。最後に来たのは15年前で、土地勘もないため、ほぼはじめての感覚だ。この日はあいにくの曇りで12月上旬でもやや寒かった。東京に比べると、やや寒い印象。

 

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久しぶりに降りた入間市は、、、まったく覚えていない。。

 

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駅前は駅ビル以外はこれといった建物はなく、寂し気な印象があったが、駅から5分ほど歩くと、地元のデパートや映画館が入った建物などがあるエリアが出現する。もう増田園の近くなんですけど。。。少し田舎っぽい場所にあるかと思いきや、わりと繁華街にも近く、道路沿いにある住宅街の一角に看板を発見した。

 

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狭山茶、国産紅茶と書かれたのぼりが見える。ひとまず腹ごしらえをしてからお茶屋に入るため、看板を左に回った。敷地内には駐車場があり、併設されたガレージには薪(まき)らしきものがある。それがなんとも言えない趣深い雰囲気を醸し出している。その一角に3階建てのカフェを発見した。

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入口にはフランス料理ののぼりがあり、カフェ茶蔵という木製の看板が設置されている。

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カフェレストラン 茶蔵

http://cafesakura.main.jp/

 

入口のガラスにはコンサートのチラシが貼ってある。どうやらカフェではコンサートが時々開催されていることがうかがえる。

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さっそく中に入ってみると、階段を上ったところにアンティーク調の家具やステンドグラスのランプが置かれている。目指す先に見えるカフェの雰囲気がすでにうかがい知れ、期待感が増してくる。

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中二階にはアンティークの和ダンスや時計などの置物が置かれていたり、蔵として使われていたのかと思われるものが設置されていた。石原裕次郎のポスターは2020年ですが。。

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階段を上った先にカフェの入り口を発見。大理石風の石に緑色のグラスで、中が見えないが、若干の緊張が走る。

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アンティークの家具に囲まれて優雅なひとときを

 

中に入ってみると、頭上には派手すぎないシャンデリア、ステンドグラスを使った照明がヨーロピアンな雰囲気を演出している。店内にはアンティークの家具が置かれ、趣のあるティーカップなどが絶妙な配置で並べられ、オーナーのセンスを感じさせる居心地の良い空間だ。

 

片隅にはピアノがあり、飾りというよりは実際に使われていることが状態からわかる。入口に貼られていたポスターのようなコンサートが定期的に行われているのだろう。店内には実に優雅な時間が流れている。

 

お客の平均年齢は50代から60代といったところだろう。時間と暇を持て余した地元のマダムたちの憩いの場なのかもしれない。隣のマダム2人組は今晩予定しているおかずの作り方や旅行に行った時に食べたアジの話で盛り上がっている。

 

そんな中、平日の昼間に入間市のフランス料理店に一人で入る中年の男。たまたま有給を取っていて、何も予定がなかったのもあるが、できれば2人以上で来ることをおすすめしたい。ただ、一人で来ても十分楽しめたので、一人でも居心地の悪さを感じることはないだろう。

 

注文したのはシェフのおすすめのランチ。

肉料理と魚料理から選ぶことができ、前菜、スープ、メインの肉料理(地鶏のソテー)、紅茶、デザートで1800円(ライス付き)。

 

前菜のサラダに始まり、エビのスープ、地鶏のソテー、お茶の葉を使ったババロアのムースもなかなかの味。1800円は比較的リーズナブルに感じたほど満足な内容だった。デザートと紅茶のペアリングも十分楽しむことができた。

 

食後に、今回の目的である。カフェに隣接している増田園本店に入った。お店に入ると、優しいおば様と叔父様が出迎えてくれて、温かい狭山茶とお茶菓子を出してくれた。

 

お茶屋で飲む、緑茶は格別なものがある。紅茶目当てで来たものの、味は狭山でとどめをさすという言葉ににふさわしい深みのある風味に魅了された。

 

2010年から紅茶作りを開始

 

さて、お店の方に増田園本店で作っている紅茶について話を聞いてみた。

増田園では2010年ぐらいから紅茶作りをはじめた。埼玉県茶業協会の指導のもと、狭山茶の茶農家が一斉に取り組み始めたという。最初にできた紅茶は美味しいものではなかったが、試行錯誤の結果、ようやく良いものができるようになったという。

 

増田園本店で販売している紅茶は2種類あり、狭山紅茶のファーストフラッシュ、セカンドフラッシュである。いずれもティーバッグ、リーフタイプがある。私のような紅茶ビギナーもいると思うので、ファーストフラッシュとセカンドフラッシュについて説明しておこう。

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茶葉が収穫された時期のことを示しており、ファーストフラッシュが春、セカンドフラッシュが夏に収穫された茶葉になる。秋に摘まれた茶葉はオータムナルと呼ばれたりもする。

 

池袋から電車で30分

 

増田園は、入間市など複数の場所に茶畑を保有しており、狭山茶、狭山紅茶を生産している。現在農地を手放す人も多く、茶畑の拡大、生産量を拡大しているとのころだ。お茶離れが進むと言われ、お茶の生産量が下がったりしている茶園などがある中で、生産を拡大しているのは珍しいともいう。

 

狭山茶はもちろん、狭山紅茶、カフェなど、お茶と食の普及に向けて、新たな挑戦を続ける老舗、茶農家の増田園本店の取り組みには今後も目が離せない。

 

池袋から電車で30分で行けるお茶の老舗、増田園本店。カフェ「茶蔵」でランチと美味しい紅茶を楽しみ、隣の増田園本店で緑茶を楽しみつつ、お土産に狭山茶、紅茶を買って帰る。こんな休日の過ごし方はいかが?

 

(D)

 

増田園本店

masudaen-honten.co.jp

カフェ「茶蔵」

cafesakura.main.jp